ただでさえ時間と費用の掛かる相続手続きですが、亡くなった方を敬ってしっかりと手続きを終わらせる方が多いですね
しかし、預貯金だけでなく、死亡保険金、入院保険金など、金融機関や保険会社だけでもかなりの労力
それに土地や家や・・・そう考えると意識が飛びそうになります
ただでさえめんどくさい(と言ってはいけない)相続手続きに、投資信託が加わったら、それこそ複雑で、そして納得いかない相続になる可能性もあります
今回は、その投資信託の相続手続きと、よくあるトラブルについて解説したいと思います
投資信託の相続は現金化に時間がかかる

投資信託を相続する際は、預貯金の相続とはちょっと違います
法定相続人の考え方などは一緒ですが、投資信託は現金で相続できないというのが大きな違い
投資信託は、基本的には名義書き換えになります
Aファンドという投資信託を親が保有していて亡くなったとすると、Aファンドを解約して解約金を相続する、という訳にはいかないんですよ
Aファンドを相続人にAファンドのまま相続させる(名義書き換え)手続きになります
- 今現在投資信託を持っている(投信口座を持っている)
相続人がこの状況なら、投資信託の相続はスムーズです
投信口座にそのまま親の投資信託を移す手続きで済むからです
ところが、日本人は資産運用してない方が多いため、大抵のお客様は投信口座は持ってないです
となると、現金にして相続する手続きはざっとこんな感じです
- 親の持っていた投信口座の死亡通知を出す
- 相続人名義(代表相続人)投信口座を開設する
- 投信口座を開設後、その口座に親の保有していた投資信託を移管
- 移管完了後、その投資信託を解約する
- 今後投資信託を買う予定がないなら、開設した投資信託口座を解約する
- 親の持っていた投信口座を解約する
ただでさえ手間のかかる預貯金の相続手続きに、これが加わります
ここでもう一つ、投資信託のリスクが加わります
解約するまでに数日掛かった場合、その間にそのファンド(投資信託)が急落する可能性もあります
※その逆で急騰して儲かる可能性もある
投資信託の相続額は基本的に亡くなった日の評価額です
高額保有者は資産家とも言えると思います
亡くなった日の評価額(相続額)は1000万で相続税が掛かった
解約した日までに急落して500万になった(この金額だったら相続税の基礎控除内で相続税を払わずに済んだ)
さすがにこの事例は当たった事がありませんが、投資信託の商品性(リスク)と相続税の計算で考えるとありえないとは言えない事例です
相続税は亡くなった日での計算なので免れませんが、相続税払った上に親の財産が半分に減ったらたまったもんじゃないですよね
投資信託のリスクとは元本保証がない事なんですよ
あくまでも、そのファンドを移管させるだけなので、それが今いくらかという事は金融機関側からすれば知った事ではないんです
もっと言えば、ファンドを解約するかどうかは相続人の判断なので、さらに知ったこっちゃないんですね
そんな冷たい態度じゃだめじゃないか!と怒るのも分かりますが、そもそも投資信託はそういう考えのもとってのがあるんです
買うも売るも買った人の判断、それが「投資信託」です
更に言うと、親の持っていたファンド(投資信託)がNISAという非課税口座で買っていた場合、NISAのまま相続は出来ません
まぁ、ここまで来ると資産運用未経験者にはあまりピンとこないと思うので割愛させていただきます
投資信託がもし下がっていたらそのまま相続

最もお客様とトラブルになるのはここです
投資信託が下がっていたら、それをそのまま相続する
親が1000万貯金持ってる、とか、子供は意外と知ってますよね
私自身、母親の預貯金額は大まかに把握しています
それが投資信託に化けて半分以下になっていたら、あなたは怒りますか?
怒っても金融機関側からすればどうしようもない事なんで、なだめて話聞いて罵声浴びて、お客様にさっさと帰ってもらうしかありません
買ったのは親ですからね
じゃあそこでどうやって抵抗するか
その買った時の状況、親を騙したり誤認させて買わせていないかの調査を依頼するしかありません
親が買った郵便局や銀行に怒りのクレームと共に調査依頼を出したとします
しかし、調査するのは内部の人間です
しかも実際に買った親は既にこの世に居ません
当時のことを売った社員に調査し、申込書の筆跡、色々な確認書類(重要事項の確認や投資信託は元本保証がないと明記した書類)にお客様が自署しているか、それを確認します
本人が自署しているかが証明されれば、本人は納得して買ったため「不適正募集はなし」と回答が来ます
納得いきますか???
お金が減っている事に対してはお客様はどう回答しようが怒りが収まる訳はありませんね
金融機関側からしたら、買った方が高齢だろうが関係なし
もし親が認知症など当時の判断があいまいだという主張を通すなら、民事裁判を起こすしかないようです
売った社員が「ちゃんと説明しました」と言い切って、申込書等もお客様本人が自署していると判断されればこれ以上もこれ以下もありません
でもね、怖いのが、この社員が後々不適正募集をしていた事が発覚した事例がある事なんですよ
怪しいですよ、怪しいどころか真っ黒ですよ
何回も言いますが、高齢のご両親が投資信託を買っていないか、いま一度確認する事をおすすめします
金融機関の本音、財産が増えていればお客様は全くクレームを言わない
親が保有していた投資信託を相続した際、全てが下がっている訳ではないんです
投資信託の相続の説明になると、お客様全員が、何それ・・・と顔をしかめます
これがこうでこうこうで・・・と説明し、投資信託のトータルリターンを説明した時に顔色が変わります
増えていればさっきまでのめんどくさいが、とても軽やかに手続きを勧めてくれるようになります
そして、ファンドの移管終了と同時に解約して利益確定です(笑)
手続き上、全く一緒の必要書類と手間と時間が掛かっても、お金が増えていれば全くクレームは入りませんし、トラブルにもなりません
世の中そんなもんです
資産運用は日本人にはあまり馴染んでないという現状
とある調査では、日本人は20年で家庭の資産(家計金融資産)をなんと1.5倍になっているという数字が出ています
しかし、アメリカの過程の資産は同じ期間でなんと3倍以上!!
この大きな違いは、家庭の資産運用(株式、投信など)の割合の違い
日本は10%台に対してアメリカは40%以上、20年前から資産運用に回しています
日本人は日本の低金利が分かっているのに、ほとんどの金融資産を現金・預貯金として置いておく人種と言えるでしょ
30~40年前まではそれで良かったんですけどね
低金利だと分かってるのに、金融機関の窓口で
「預けていても全然増えない!昔はよかったのに」
と平気で文句言うんですよ
現状として、日本はそういう事が多いですね
私が窓口でお声かけしたお客様は30人に1人くらいしか資産運用をしていませんでした
ここからがちょっと怖い話になりますが、30人に1人いる資産運用してる、という人は全員と言っていいほど65歳以上の年金受給者で毎月決算(分配)型のリートを分配金受取してました
毎月決算(分配)型のリートを分配金受取の詳細な記事は下記をご覧ください
そのリート商品が悪い訳ではなく、実質10年もしないうちに2~3倍に増えたいいファンドだったんですがね
郵便局や銀行では、その分配金でモノを買わせる、保険に加入させるという不適正募集をしたとニュースで報道されました
先ほど言ったように、日本人が株や投資信託を利用する割合はとても低く、この記事をご覧いただいてる方も、もしかしたら全くやってないって人も多いかもしれません
しかし、田舎でくらしているご両親や祖父母、もしかしたら郵便局や銀行に投資信託を買わされているかもしれません
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