金融機関の窓口に置いて、お客様とも、お客様同士でも揉めるのが「相続手続き」です
高齢の親族がいるご家庭なら、ある意味覚悟を決めておくべき人生の山場でしょう
それくらい、相続になると揉めます
ここでは相続でなるべく紛争にならないための事前準備や手続き、相続とは何か、そういう相続手続きについてのノウハウと、元金融機関勤務な人間だからこそ言える裏技を説明したいと思います
郵便局、銀行の相続手続きで親族間でもめるのは金額は関係ない
相続手続きは、親族、特にご両親がお亡くなりになった場合が多いと思いますが、他にもご兄弟、一番こちらも胸が痛むのは若くして亡くなった子供さんですね
親族は葬儀が終わるまでは毎日バタバタで悲しむ暇がないと言われます
葬儀が終わって落ち着いて、集まっていた親族も帰った頃に、気持ちを奮い立たせて相続手続きに金融機関や保険会社を回るという人が多いようです
相続手続きは、必要書類を集めるだけでも手間が掛かり、相続人は基本的には書類に「自署」する事が必須の金融機関が多く、県外に帰ってしまった相続人に郵送などで自署をしてもらう事も多くあります
精神的に参った上に、複雑な相続手続きで窓口で社員と揉める事も多いのが正直なところです
相続手続きで親族内で揉めるのは、金額は全く関係ありません
金額が多ければ取り分が多くなり、揉めるよりも先に手続きをするという心理に働くようです
金額が少なければ、なぜそんな金額に手間をかけるんだ?と手続きを拒否する相続人も出てくるのです
私自身、何百人ものお客様の相続手続きをしましたが、1000万以上の大金を相続する際に、親族間で揉めた例は1件もありませんでした
相続手続きで揉めるのは、100%親族の関係性です
兄弟で仲が悪い、行方不明、海外に移住、結構多かったですね
私が一番長くかかったのは、なんと1年近く相続手続きが済むまで掛かりました
うちは大丈夫、と思ってると痛い目に遭うのも相続手続きの特徴でしょう
全く手間が掛からず一日で終わる相続手続きも多い
相続手続きにくるお客様で、全く紛議なく一日で済むことも少なくありません
ただし、条件があります
- 預貯金が少額である
- 子供がいない夫婦でどちらかの配偶者が無くなった場合
- 子供一人でご両親のどちらかが無くなった場合
- 生命保険の場合、死亡保険金受取人が指定されており生存している
生命保険の相続手続きは、はっきり言うと預貯金よりもとても複雑です
これはまた別の機会にお話ししたいと思います
預貯金が50万以下であれば、どこの金融機関でも簡潔に済ませる手続きがあるようです
これは銀行ごとに違うため一概には言えませんが、少額相続という手続きがある場合が多いです

あなたがこの3つのパターンに当てはまっていれば、ほぼほぼ相続手続きは簡潔です
※パターン②は親子関係が劣悪なら揉めます(笑)
すごくいや~な事を言うと、両親に離婚歴があると話は別になる可能性もあります
この場合は、父親が再婚であり、元妻との間に子供がいる場合
前妻との子供は相続権を持っています
預貯金の相続手続きになるととてもめんどくさい
基本的には人が死亡した時点で相続権が発生します
相続人間で紛議が起こる原因は100%身内同士が仲が悪い、という事です
100%は大げさかもしれませんが、私自身が相続手続きを受ける際に揉めたパターンでよくあったのがこれ

親子関係も兄弟姉妹関係も良好でも、この問題のある配偶者がいる場合、大抵揉めます
問題のあるというのには、金にがめつい守銭奴である、というのが主な問題です
この場合は、長女である嫁に全てのお金を相続させようと、相続手続きの際には常に長女について回り、誰よりも話を聞きます
もちろん、この「問題のある配偶者」には相続権は一切ありませんが、とにかく手続きには積極的です(笑)
とにかく、守銭奴が配偶者の兄弟姉妹がいる場合、100%揉めるという事を前提に相続手続きに挑んだ方がいいです
金融機関側からすると、もう一つややこしくなるのが、この兄弟、この図で言えば長男、二男が法律に関係する仕事に就いている場合(弁護士、司法書士、行政書士など)
うるさい姉の配偶者が相続手続きを始めてると分かると、自分達も動き始まます
相続手続きは相続権を持った相続人が誰でも同時にスタートできます
相続権には順番があるんですが、上記の図のパターンだと、死亡した父親の配偶者と3人の子供は同じ順位となります
4人が同時に相続手続きを開始する事も可能です
そして、相続手続きの書類に自署する段階で100%揉めます
私のお客様で、何と10人以上上記のパターンで相続手続きがストップしたままになってました
亡くなった父親は浮かばれないですよね
まだまだ相続手続きでもめるパターンは多いですが、あまりに多いので別段で紹介したいと思います
今のパターンは、一見揉めそうにないのに結構揉めるパターンです
相続になった時点(亡くなった時点)で絶対に引き出しはできない
普通の家系図でも大揉めになるなんて・・・相続手続きはいやだ
そうだ!
死んでないって事にして預貯金を引きだしてしまおう!!!
これもよくある、というか、3人に1人は実行しようと窓口に来ます(笑)
これ、非常にハードルが高いです
前に書いている、相続手続きが簡単に終わるパターンの「預貯金が少額である」という事ならできる可能性はありますね
通帳の本人でなくても引き出しが可能な「代理人(使者)」の制度がある金融機関が多いからです
要するに、親子関係であれば引き出しできる場合があるんです
ただし、これも条件があります
- 同居の家族である
これが最低条件としている金融機関が多いですね
あとは、普段から親の預貯金を子供がその窓口で引き出ししている場合も、亡くなった事を隠して全額引き出しできる可能性は大です
要するに、抜け道を利用するという危険な引き出しですね
しかし、これは考慮しておいてください
先に引き出しして相続金をせしめても、後から他の相続人から請求される
要するに、死亡した段階までさかのぼって税金や相続権は発生してしまいます
ですので、他の相続人に黙ってこっそり引いても100%バレますので辞めといた方がいい
金融機関窓口側からすると、普段見慣れない人が突然親の預貯金の引き出しをしにきたら、かならず証明書類を求めるようになっています
また、普段引き出しに来てる子供さんに見た事のないスーツを着たご主人様がついてきて、何やらこそこそ話しをしている、とか、何か怪しいと感づいたら証明書類を求めます
そして、一番バレてしまうのは、葬儀社が出す看板ですね
田舎の葬儀社は、ほぼ間違いなく国道沿いや県道沿いに誰が亡くなって喪主は誰ですという看板を立てます
窓口の社員はかならずそれをチェックしてますからね
朝礼で「どうやら○○さんが亡くなったようですので、〇〇さんの通帳が窓口に来たら注意してください」なんて話もしてます
先ほど出た問題のある配偶者がよくやるパターンですので、金融機関側は名義人が亡くなったと分かったら「引かせない」という守りに入ります
金融機関側からすれば、亡くなってるのに残高を引かせたら、後々他の相続人が窓口に怒鳴り込んできますからね
こうなるとホントにややこしくなり、中には裁判まで起こされてる社員もいます
銀行や郵便局は、窓口社員とお客様のトラブルは社員責任があるという考えです
窓口社員は自分に責任が発生しないように、トラブルがないように、トラブルが起きそうになると全力で逃げます
少しでも怪しい感じがすれば、窓口では徹底抗戦の構えで関係が分かるまで色々な書類を出せと防御策を出してきます
こっそり引き出しはかなりハードルが高いですね
まず無理だと考えましょう
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